親族の中で一番の厄介者が逝った。
本人も自分のやってきたことを充分承知していて、生活保護を受けるようになってからは段々と疎遠になっていった。
癌で余命を宣告され、世話にならない、迷惑はかけないと言い、その通りに病院のベッドで独りで逝った。
いとこ同士で話し合い、誰も引き取り手がなく、本人も望んでいたようなので、すべて市役所にお任せして無縁仏として埋葬してもらうことになった。
最期まで独りでは。火葬場で炉の扉が閉まるまで見送ろうかと夫に相談したが、言っては何だがこの状況は本人の自業自得で別に行かなくてもいいんじゃないか、と。
義姉は無理して行かなくてもいい、と一言。
私自身も、いい思い出のない人…嫌な思い出しかない人、ということで。
行かなかった。一時の感傷は捨てて気持ちを割り切った。その時刻、家で冥福を祈った。TV上に飾ってある今まで落ちたことのないリスの置物が落ちていたり、一瞬だけ防災無線の音が鳴ったり。（防災無線は今日はテスト放送しているようだが）
お別れを言いに来たのだろうか。簡単だけどちょっとした手続や所用など完全フリーではなかったけれど、葬儀以後の諸々は必要なくなったし、最期の覚悟、その選択だけには「ありがとう」と言いたい。