カテゴリー: ぱろでぃ☆オン和田わーるど

　いつもは干すまでやるところを今日は洗濯機を回してきただけだから楽ちん。少しばかり心に余裕のある状態で出社した洋子は、同僚たちや同じフロアの他部署編集員たちに朝のあいさつをしながら、自分のデスクの空きスペースに通勤バッグを置いた。
　デスクに置いてある小さい日めくりカレンダーを1枚めくる。日付と曜日と六曜だけのシンプルな日めくりには、その日の「大仕事」が記入されている。予定を組み込んだ時点で手帳に書き込むのと同時に、日めくりにも書き入れるようにしていた。洋子流の「やることリスト」だ。

　書いてある項目を確認する。担当コラム作家の原稿受け取りと、秋から連載が始まる旅行記のライターとの打ち合わせが、今日の洋子の二大仕事だった。
　そういえば。左隣のデスクを見る。洋子より１年先輩の男性編集員引田のデスクは、昨日、引田が帰ったままの状態だった。
「あら？　今日は早くに出社して、って……」
　引田は憧れの小説家、山部宗輔の担当になって初めての原稿受け取りを心待ちにしていたのだが……。[続きを読む……

※これは1995年当時のネタです。

こんにちはフラワードリームナナです（以下 ナ）。ゆかりさん、よろしくお願いします。

黒沢ゆかりです（以下 ゆ）。なんで、あんたが先なのよ？　だいたい、あんたと組んで他人の悩みなんか、解決できそうにないわ。[続きを読む……

　公衆電話を見つけた神は、渋滞で混雑する状況でその行動を取るのは、あまり歓迎されないと思ったが、早めに左のウィンカーを出し、ぎりぎり寄れる所まで左に寄せて、車を路肩に停車させた。[続きを読む……

　雪が降っていた。その日は例年にない大雪で、積もるだけの人淋しいビルの屋上は、それほど待たずに銀世界に染まっていった。
　そして、そこにサキがいた。屋上の柵に腕を載せ寄りかかり、背中を小さく丸め、それでも顔だけは上げて、遠くに見えるビルの群れを眺めていた。[続きを読む……

　神の元を離れてから、美尾は少なからず予想していた。「死」というものを。[続きを読む……

　警視庁の庁舎上階。「闇の警視総監」とも言われる暗闇警視の部屋に、警察の上層部、それもトップクラスのエリートたち十数人が、秘密裏に集まって来ていた。[続きを読む……

　深夜の南青山を、かなりのスピードで飛ばしている一台の車。神恭一郎のポルシェだった。助手席には、熟睡…というより泥酔したサキが乗っていた。[続きを読む……

　あたしが、あいつの事務所に初めて行ったのは、鷹ノ羽高校に戻る前日。母さんが「幽霊」と知り、正式に「スケバン刑事」を承諾したあの日から、2日後の事だ。[続きを読む……

　ある日の午後。
「ちわぁー。郵便でーす。いいかげん、郵便受け、付けて下さいよぉ。頼みますから～」
　毎度おなじみのセリフと共に、配達員は郵便物の束を女性に差し出す。[続きを読む……

　月光の絹～ムーンライト・シルキス～と名付けられた新繊維のヒットにより、倒産を免れた浅野繊維。社長を継いだ時は、まだ高校生だったユミも、社員の協力の元で学業と社長業を両立し、無事に大学を卒業した。[続きを読む……